読書メモ 海外作家の短編集
今日はハロウィンですね。
今回はハロウィンとは関係ありませんが、忘れた頃にやってくる本の備忘録です。
シャーリイ・ジャクスンを知ったのは原作である「山荘綺談」を映画化した「ホーンティング」というホラー映画からでした。
「ホーンティング」は映画館で観たのですが、拡張規格DTS-ESを初めて採用した配給映画ということもあって、霊が扉を叩く音の振動が劇場中に響いて臨場感があり、とても迫力があって怖かったことを憶えています。
映画としては興行的に成功したものの、「ゴールデンラズベリー賞(駄作)」なる有難くない賞のノミネートをいくつかされてました。
私には懐かしい女優、キャサリン・ゼタ・ジョーンズが主演です。
この方まだマイケル・ダグラスとご夫婦なんですね~。(失礼)
私は原作の「山荘綺談」は読んでいません。(映画を観てしまったら興味があって原作を読みたくなる作品と、そうでない作品というものがあるのは仕方がない)
その後に「ずっとお城で暮らしてる」を読みました。こちらが初シャーリイ・ジャクスン本ですね。
タイトルがまるで貴族の女の子の出てくる童話のようではありませんか。文庫本のファンタジーのような表紙にまただまされます。
この小説はホラーではありませんが、めちゃめちゃ怖いです!
一種のサイコパスものというのか、主人公の一人称で語られるお話ですが、肝心な部分は語られない中で垣間見えてくる異常さにゾクゾクします。
そのずっと後に恩田陸の「ユージニア」を読んだ時、同じ怖さを感じました。「毒殺」繋がりと云うか、奥深くに隠された得体の知れない狂気が漂っています。
やっと本題。
みなさまは「奇妙な味」の短編小説はお好きですか?
「奇妙な味」とは江戸川乱歩の造語ですが、読後にゾッとしたり不思議な気分になるような、分類の出来ないモヤモヤを読者の頭に残す短編小説のことで、サキやダールが有名ですね。(日本の作家では阿刀田高とか)。
私は「奇妙な味」大好きです。
「この作品の怖さは遅効性、湿布みたいにじわじわ効いてきます。」宮部みゆき推薦
と文庫版の帯にありました。
表題作は「世にも奇妙な物語」に出てきそうな不条理な怖い話です。
「奇妙な味」というジャンルに入るようなのですが、22作品全てが奇妙な話というわけではありません。
つまり、この一冊を一括りのジャンルにするのはちょっと無理があるような。
22の作品の半数近くに共通した人物らしき男性が脇役として登場しますが(登場しなくても会話の中だけに出てきたりも)
そういう仕掛けは嫌いじゃないです。それが悪魔的なキャラクターならば尚更。
全ての話がすんなりわかりやすいわけではなく、「オチは何?どういう意味?なぜここで終わる?」という、いくら考えてもわからないお話もあって、どなたかの解説に頼りたくなってしまいました。深読みでもいいから誰かに解説して欲しい。モヤモヤして終わる小説は苦手なのです。(「ユージニア」もモヤモヤでしたけど)
あ、それが奇妙な味なのかも。わかるようでわからない「何?この小説、変だわ」という感情。嗚呼なるほど(?)
18篇を収めた「奇妙な味」のアンソロジーです。
こちらにもシャーリイ・ジャクスンの短編が入っています。
この本の一番初めに収録されている「肥満翼賛クラブ」(ジョン・アンソニー・ウェスト)という短編がもの凄い結末で呆然としてしまいました。
それはロアルド・ダールの「南から来た男」以上に私には衝撃的でした。
ブラックユーモアというものかもしれませんが、想像したく無いような「奇妙な味」の一篇なのでした。うう~
上記「街角の書店」の好評を受けて出版された続編になる「奇妙な味」の短編集。
こちらは12篇入っていますが、やはり前作の短編集の方が面白かったかな。