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道尾秀介「いけない」&山内マリコ「あのこは貴族」





書評ですごく面白そうに感じた道尾秀介の「いけない」です。
「王様のブランチ」でも紹介されたようですが、その時は観ていなかったような気がします。覚えてない…
この小説はいわゆる「仕掛け」のあるミステリー。
架空の町を舞台にした4章からなる連作短編集ですが、各章の終わりに一枚の写真が付いていて、種明かしがされているのです。
種明かしというか、読者がその写真を見て改めて物語の謎を考える余地を残しているのですね。
ですからまた途中を読み返すことになるのです。

全章を通して不穏な話だらけです。
特に2章目の少年が主人公の話が一番気味が悪かった。ネットでネタバレと解釈を読んでみて、初めて気が付いた部分もあり、改めてゾッとしてしまいました。そしてまた読み返す…私はこの章を読んでいる時、道尾氏の「向日葵の咲かない夏」や「背の目」のようなジットリしたホラーじみた違和感を常に感じていました。
連作なので、最後は謎が全て繋がるわけですが、皮肉な大団円を迎える終わり方はけっこう好きです。
久しぶりに夢中になって読んだミステリーでした。










山内マリコの「あのこは貴族」です。
実は私の持ってるのはハードカバーの方。

anokokizoku

Amazonの方に載っていなかったので文庫版を紹介。


東京の上流階級の箱入り娘と、地方出身の都会で生きる女性二人が、周りの境遇から解放され力強く生きていく物語です。
この本を読んで上流階級に生きる人々は、裕福な暮らしができても狭い世界で生きざるを得ないことに気づかされてしまいました。
釣り合いのとれた階層の中だけで、人生に関わるあらゆることが進められていくことは庶民からみるとちょっと恐怖ではありませんか?
主人公の華子も流れに逆らわず、家柄の良い理想的な男性と出会い結婚します。そこから華子の運命が予想と外れていくことになるのですが、結局お互いの気持ちよりもバックにある家のため、通過儀礼的に結婚をしている感じです。

そして私はこの本を読んで、玉の輿婚は恐ろしいと改めて気づかされたのでした。
一般に「玉の輿!金持ちの奥様!将来バラ色の人生!」と世間では位置づけられていますが、日本の結婚は家と家の付き合いが必須になります。ですから相手の家が自分ちよりもうんとお金持ちだったり家柄が良かったとしたら、あらゆる場面(儀式や祝い事等)でお互いが気を使いすぎて不幸になりそうなのです。
例えば自分の親が相手の家に合わせようと無理をしている姿を見たら悲しくなりますよね。(幸いうちは夫婦共に普通の家同士)親が平気でも私が感じてしまいそうで、それも嫌。逆に相手の家がこちらの家に合わせようと無理しているのも嫌。
まあ今の若者は個人対個人でしがらみ無く受け入れるのかもしれないけど。

小説の中でも親族の年始の集まりが帝国ホテルだったり結婚式はオークラだったりと、外資の高級ホテルではなく歴史ある日本の高級ホテルを選ぶあたりが成金金持ちと一線を画す感じです。そんなところを当たり前のように使いこなす人々には、私はやはり世界が違う~と感じざるをえないのでした。(一流ホテルのアフタヌーンティーは私も使い倒すけど)

そういえば、この本は来年もう映画化されるそうです。
東京のお嬢様華子役に門脇麦、地方出身の都会派女子の美紀役に水原希子。
う~む、ちょっと私のイメージと違うよん。
公式サイトの写真しか見つからないからよくわからないけど、門脇麦は表情が落ち着き過ぎていて華子の持つ可愛らしいおっとり感とはちょっと違う感じ?
美紀役の水原希子はトンガリ過ぎてるイメージ。実際演じているのを見ればしっくりいってるかもしれないけど。
私が読んでいる間唯一イメージできたのは、華子の友達の相良さんです。
相良さん役には水川あさみがずっと頭に浮かんでいました。
そうなると華子と美紀に関わる青木幸一郎役は誰になるのかな?
イメージは三浦春馬と岡田将生なんだよな~誰になるかは公式をチェックしながらのお楽しみですね。


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