山内マリコ 「ここは退屈迎えに来て」 の映画はまだ観てない
旧ブログからのリライトです。
前回の記事に山内マリコ著「あのこは貴族」を紹介しましたが、前にこちらの小説でも簡単な感想を書いていたので転載しました。
この本を知ったきっかけは、かつてBSフジで放送していた「原宿ブックカフェ」という番組からなのでした。(2015年に終了)
人気作家の公開トークショーというコーナーがありまして、山内マリコがゲストでこの本を紹介していたのです。(番組で紹介されたのは文庫ではなく単行本です。)
とにかくこの、少女の誰でも持っていそうな危うい気持ちを表したタイトルが印象的で、ずっと記憶に残っていました。
ある地方都市を舞台に、そこで生まれた女の子たちのなんとなくモヤモヤした倦怠と閉塞感のある日常を描いた連作短編集です。
この土地には不自由のない程度にはなんでもあるけれど、本当に欲しいものや見たいものはここではないどこか、都会にあるのではないかしら、という思いがありつつも、確たる目的も見い出せ無いが故に、「誰かが連れ出してくれたらいいのに」と他力本願な様子が垣間見える少女達の姿がリアルで愛おしい。
各話の中に必ず登場してくるのが「椎名君」という男の子です。
本人は妻子ある30歳のあまり冴えない感じの男性として初めに登場しますが、彼女らの大切な思い出の中で輝き続ける共通の男子として、永遠に記憶されるであろう存在です。
こういうのを「想い出のよすが」というのでしょうか。
小説の中にこんなセリフがありました。
「椎名君はタモリにとっての吉永小百合みたいな存在なの!」
「椎名君はあたしたちが潔白だったころの象徴」
う~ん、あの頃好きだった異性を神聖視する気持ち、よくわかります!
このロードサイド小説のBGMは椎名林檎の「走れ わ ナンバー」が似合います。
※「わ」はレンタカーに付くナンバー。
実はWOWOWでこの小説の映画を録画してますがまだ観てません。
録画しちゃうと安心してしまうのよね。いつでも観られるからと…
主演は橋本愛です。